新NISAの非課税投資枠を整理するイメージ
制度の話公開:2026年8月2日

新NISAは売ると枠が復活する?簿価ベース・翌年再利用のルール

「新NISAは売っても枠が戻るから、いつ売ってもいい」——この理解は半分しか合っていない。枠は確かに復活するが、戻るのは売った値段(時価)ではなく、買ったときの金額(簿価)だ。しかも復活するのは売った年ではなく翌年である。この2点を取り違えると、年末の売却で「今年のうちに買い直せるはず」という予定が崩れる。この記事では金融庁の一次情報をもとに、枠の全体像と復活の条件を配当好きの目線で整理する。
筆者:/本記事は制度のしくみを整理した情報提供であり、特定商品の購入を勧めるものでも、投資助言でもありません。株式・投資信託は元本割れの可能性があり、運用成果はすべて投資者本人に帰属します。制度の数値・取扱いは変更されることがあるため、判断の前に金融庁および利用する金融機関の公式情報をご確認ください。

分配金を受け取り続けたい私にとって、売却は本来あまり出番のない行動だ。それでも銘柄の入れ替えや方針変更で売る場面はある。そのときに「枠がどう動くか」を知らないまま売ると、翌年の設計まで巻き込んで狂う。

新NISAの枠は全部でいくらある?

まず土台を押さえる。金融庁のNISA特設ウェブサイトによれば、新しいNISAには「年間いくらまで投資できるか」と「生涯でいくらまで非課税で保有できるか」という、性格の違う2種類の上限がある。

枠の種類つみたて投資枠成長投資枠合計
年間投資枠120万円240万円360万円
非課税保有限度額(生涯)全体で1,800万円(うち成長投資枠は1,200万円が上限)1,800万円

年間投資枠は、つみたて投資枠がつみたてNISAの3倍にあたる年120万円、成長投資枠が一般NISAの2倍にあたる年240万円。両者は併用でき、合計で年間360万円まで投資できる。一方の非課税保有限度額は生涯を通じて1,800万円が上限で、そのうち成長投資枠として使えるのは1,200万円までとされている。

この2つは別物だ。混ざると、後で出てくる「復活」の話が読み解けなくなる。年間投資枠=1年ごとにリセットされる蛇口の太さ、非課税保有限度額=生涯で貯められるバケツの大きさと考えるとわかりやすい。

売ったら枠はいつ復活する?

復活するのは翌年だ。金融庁の説明では、商品を売却した場合、その簿価の分だけ非課税投資枠が復活し、再利用が可能になるとされている。ここで効いてくるのが「翌年以降」という時点の指定である。

つまり、売った瞬間にバケツが空くわけではない。年内に売っても、その空きを使えるようになるのは年が明けてからだ。よくある勘違いが「12月に売って、同じ12月に別の銘柄へ入れ替える」という組み立てで、これは枠の復活としては成立しない。年内に買い直すなら、その年に残っている年間投資枠を使うことになる。

ここだけ押さえる

売却で戻るのは生涯のバケツ(非課税保有限度額)の空き。戻る時期は翌年。年内の買い直しに使えるのは、あくまでその年の年間投資枠の残りだ。年末の入れ替えを考えているなら、この時差を先にカレンダーへ書き込んでおきたい。

復活するのは「いくら」?時価ではなく簿価

もう一つの誤解が金額だ。復活するのは売却して受け取った金額ではなく、簿価=その商品を買ったときの取得金額である。金融庁の説明でも、簿価100万円の商品を売却した場合に翌年復活する金額は簿価の100万円だと示されている。

ケース取得金額(簿価)売却額(時価)翌年に復活する枠
値上がりして売った100万円150万円100万円
取得額と同水準で売った100万円100万円100万円
値下がりして売った100万円70万円100万円

表のとおり、復活する枠は売値に左右されない。値上がり益が大きくても、その分だけバケツが余計に空くわけではない。逆に、含み損の状態で売っても簿価分は戻る。非課税で「保有できる元本の総額」を管理する制度なので、増えた分は枠の計算に入らないという設計だと理解すると腑に落ちる。

枠が復活すれば、その年に自由に買い直せる?

ここも限度がある。復活するのは生涯のバケツ側であり、その年に実際いくら投じられるかは年間投資枠の上限に縛られる。仮に翌年1,000万円分の枠が復活しても、その年に投資できるのはつみたて投資枠120万円と成長投資枠240万円を合わせた360万円までだ。

大きく売って大きく買い直す、という発想は制度の形と合わない。バケツが空いても蛇口の太さは変わらないからだ。まとまった入れ替えを考えるなら、複数年に分ける前提で組むことになる。

分配金・高配当を持つ人にとって何が変わる?

私のように分配金や配当を受け取り続ける前提で持っている場合、そもそも売る回数が少ない。だからこのルールの影響は小さい——と最初は思っていた。実際に整理してみると、効いてくる場面が3つあった。

最後の点は、配当好きにとっては追い風だと感じている。分配金や配当は保有し続けることで受け取るものなので、「売らない」ことが枠の運用としても無理のない選択になる。もっとも、どの商品を持つかは別問題で、利回りの数字だけで決めない姿勢は変わらない。

売却した枠はいつ復活する?

売却した年ではなく翌年です。金融庁のNISA特設サイトでは、売却した商品の簿価の分だけ非課税投資枠が翌年以降に復活し、再利用が可能になると説明されています。

復活するのは時価?それとも取得金額?

簿価、つまり取得金額です。簿価100万円の商品を売却した場合、翌年復活するのは簿価の100万円とされています。150万円で売れても戻るのは100万円分です。

枠が復活したら、その年にいくらでも買える?

いいえ。復活するのは生涯の非課税保有限度額1,800万円の側です。1年に投資できる額には、つみたて投資枠120万円+成長投資枠240万円=年間360万円という別の上限がかかります。

成長投資枠だけで1,800万円まで使える?

使えません。非課税保有限度額1,800万円のうち、成長投資枠として使えるのは1,200万円が上限とされています。高配当株中心で組む場合はこの内枠に注意してください。

参考・一次情報:
・金融庁「NISAを知る(新しいNISA)」https://www.fsa.go.jp/policy/nisa2/about/index.html
・金融庁 NISA特設ウェブサイトhttps://www.fsa.go.jp/policy/nisa2/
・制度の取扱い・手続きの詳細は、利用する金融機関の公式案内をご確認ください

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(このブログの中の人)
高配当株・ETF・投資信託の分配金で趣味を楽しむ個人投資家。利回りの数字より「増えているか」と「コストで削られていないか」を確かめる派。自分で口座を動かしながら、分配金まわりの仕組みを噛みくだいて書いています。

最終更新:2026年8月2日