信託報酬のしくみを学ぶイメージ
コストの話公開:2026年7月23日

eMAXIS Slimの信託報酬はなぜ下がり続ける?受益者還元型のしくみ

eMAXIS Slimの信託報酬が下がり続けるのは、「業界最低水準の運用コストをめざし続ける」という明確なコンセプトと、純資産が増えた分だけ料率を下げる受益者還元型信託報酬率という2つのしくみがあるからだ。米国株式(S&P500)は年0.08140%(税込・2025年1月25日から)まで下がっている。この記事では、その下げ止まらない理由と、長く持つ人にとっての意味を配当好きの目線で整理する。
筆者:一真/本記事は信託報酬のしくみを整理した情報提供であり、特定商品の購入を勧めるものでも、投資助言でもありません。投資信託は元本割れの可能性があり、運用成果はすべて投資者本人に帰属します。料率・純資産などの数値は変わるため、判断の前に各社の交付目論見書と公式の一次情報をご確認ください。

分配金を楽しむ私でも、保有コストの話だけは冷静に見るようにしている。信託報酬は、毎日こっそり資産から引かれ続ける“見えない支出”だからだ。なかでもeMAXIS Slimの下げ方は独特で、そのからくりを知ると投資信託の選び方が少し変わる。

信託報酬とは何を指すのか?

信託報酬は、投資信託を保有している間ずっとかかる運用管理費用だ。運用会社・販売会社・信託銀行の3者に配分され、毎日、純資産から日割りで差し引かれる。買うときの手数料と違い、持ち続ける限り発生する。だからこそ、10年・20年と積み立てる人ほど、わずかな料率差が最終的な資産に効いてくる。

同じ指数に連動する商品でも、信託報酬は横並びではない。年0.5%の商品と年0.1%の商品を比べれば、その差は毎年0.4%。長く持つほど、この差は複利で積み上がる。

eMAXIS Slimの信託報酬が下がり続ける理由

三菱UFJアセットマネジメントは、eMAXIS Slimについて「業界最低水準の運用コストを、将来にわたってめざし続ける」と公式に掲げている。つまり、他社がより低い料率を出せば、それに追随して引き下げる方針だ。この“他社追随型”の姿勢が、シリーズ全体の料率を段階的に押し下げてきた。

実際、米国株式(S&P500)の信託報酬は、2025年1月25日から年0.08140%(税込)まで下がっている。純資産総額は5兆円を超える規模に育った。低コスト競争の先頭を走ってきた結果が、この数字に表れている。

受益者還元型信託報酬率とは?

もう一つの下げ要因が、受益者還元型信託報酬率というしくみだ。これは、ファンドの純資産総額が一定の金額を超えた部分に、より低い料率を適用する方式である。

しくみをかみくだくと

純資産が大きくなるほど、運用にかかる固定的なコストは1口あたりで薄まる。その規模のメリットを運用会社が取り込むのではなく、料率の引き下げという形で投資家に返すのが受益者還元型だ。しかも、その恩恵は新しく買った人だけでなく、すでに保有している全員に等しく及ぶ。資産が育てば育つほど、みんなの実質コストが下がっていく構造になっている。

下げ要因内容
他社追随型のコンセプトより安い競合が出れば、それに合わせて信託報酬を引き下げる方針
受益者還元型信託報酬率純資産が一定額を超えた部分に低い料率を適用し、全受益者に還元
純資産の拡大資金が集まり規模が大きくなるほど、上の2つが効きやすくなる

長く持つ人・分配好きにとっての意味

eMAXIS Slimシリーズは、基本的に分配金を出さず、収益をファンド内で再投資する設計だ。毎月の入金を楽しみたい私のような分配好きとは、正直に言えば相性が真逆に見える。ただ、コストのしくみそのものは、分配型・再投資型のどちらを選ぶ人にとっても学びが多い。

ポイントはシンプルだ。信託報酬は分配金の多さを直接決めるわけではない。けれど、料率が低いほど基準価額の目減りが小さく、トータルリターンで手元に残りやすくなる。「利回りの高さ」だけでなく「保有コストの低さ」を並べて見る——この習慣が、長期の資産づくりでは効いてくる。分配を受け取る商品を選ぶときも、同じ目線でコストを確かめたい。

受益者還元型信託報酬率とは?

ファンドの純資産総額が一定額を超えた部分に、より低い信託報酬率を適用するしくみです。資産が大きく育つほど平均の実質料率が下がり、その恩恵はすべての受益者に及びます。

eMAXIS Slim米国株式(S&P500)の信託報酬は?

三菱UFJアセットマネジメント公式資料によると、2025年1月25日から年0.08140%(税込)です。純資産総額は5兆円を超えています。最新の料率は交付目論見書で確認してください。

信託報酬が低いと分配金は増える?

信託報酬は分配金の多さを直接決めるものではありません。ただし毎日、純資産から差し引かれる保有コストなので、料率が低いほど基準価額の目減りが小さく、長期のトータルリターンで手元に残りやすくなります。

eMAXIS Slimは分配金が出る?

eMAXIS Slimシリーズは基本的に分配金を出さず、収益をファンド内で再投資する方針です。分配金を受け取りたい人と複利で増やしたい人とで向き不向きが分かれます。分配方針は交付目論見書で確認してください。

参考・一次情報:
・三菱UFJアセットマネジメント「eMAXIS Slim」信託報酬引き下げに関する公式資料https://www.am.mufg.jp/fund/topics/253266s_2412.pdf
・金融庁「新しいNISA」https://www.fsa.go.jp/policy/nisa2/
・投資信託協会「投資信託の費用」https://www.toushin.or.jp/investmenttrust/about/cost/
・各ファンドの交付目論見書(信託報酬・分配方針・リスクは各社公式で確認)

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一真(このブログの中の人)
高配当株・ETF・投資信託の分配金で趣味を楽しむ個人投資家。利回りの数字より「増えているか」と「コストで削られていないか」を確かめる派。自分で口座を動かしながら、分配金まわりの仕組みを噛みくだいて書いています。

最終更新:2026年7月23日